簡素な構成が特徴
バダジェフスカの音楽を研究して、何が一番おもしろいのか?と訊かれることがあります。
ズバリ簡素な構成で作曲されたものが多いからです。
基本三和音だけで成り立っているものが多いです。
最も有名な「乙女の祈り」を改めて聴いてみて下さい。
それほど複雑な和音は使われてません。
基本3和音が中心に構成されています。
かといって、よくない曲なのか?と言われると、そうではありません。
とても美しい曲で、多くの人に親しまれています。
複雑なことをしなくても美しい曲が書けるんだということを思い知らせてくれた作曲家。
それがバダジェフスカというわけです。
さまざまな和音を駆使して作られたものもある
バダジェフスカの作品には、簡素な造りのものが多いと書きましたが、そうではないものもあります。
たとえば「希望」、「信仰」といった曲は、さまざまな和音が使われています。
乙女の祈りの作曲者の作品とは思えないくらい作品の出来栄えが凝っています。
バダジェフスカ晩年の曲だと思われます。
作曲活動を続けるうちに進化していったのでしょう。
また、残念なことに、これら凝った作品は、バダジェフスカの作品ではないという説もあります。
悲しいことにその可能性はあると思います。
しかし、たとえバダジェフスカの作品でないとしても、作品の価値が失われるわけではありません。
偽作と疑われている作品も私はバダジェフスカの作品として接していきたいと思います。
3和音という限られた中でいかに魅力的な曲にするか?
私は趣味で作曲をします。
いろんな和音を使って、おもしろいものにしようとしてましたが、バダジェフスカの作品に接してからは、考え方が変わりました。
3和音だけで曲を作ろう。
限られた和音だけで、いかに魅力的な楽曲に仕上げるかを考えるようになりました。
どうすればいいのか?
それはバダジェフスカの曲の中に答えが見つかります。
普通の3和音だけで作曲すると、単調になりがちですが、バダジェフスカの曲はそうではありません。
巧みに変奏で曲を盛り上げているのです。
バダジェフスカの音楽の魅力は変奏にあるといえるでしょう。